スピーチをするための「原稿」は書かないほうがよい、という意見がある。なぜならスピーチをしている時は原稿に目を落とすヒマはないし、万一原稿の順序をまちがえた場合は論旨の展開に支障がでてしまい、説得力のあるスピーチから遠ざかってしまう…というのが根拠である。これは正論である。しかしやや理想論に近いともいえる。
なぜなら、話し手の話力にはかなりの差があるのが現実で、私などは頭の中で空中建築のように論旨をまとめる力がない。その現状ではやはり原稿を書き論点をわかり易くし、結論を明確にして、かつ推敲してスピーチ原稿を完成させ、それを何度もしゃべってみることで記憶に刻みつけ、最後に所定分秒内に納めるために捨てる個所を決める…という古典的な方法をとっている。
「上六話し方教室」では、文字記憶より場面記憶を!と教えてくれる。そのとおりだ。しかしまだ私は場面記憶だけでは話を展開できないので旧来の方法をとっている。
(スピーチ実例) 「なぜペットは可愛がられるか?」 ひろりん
いま空前のペットブームだそうです。ペット専用の服や太り過ぎペットの為のダイエット食品まであります。旅行の時もペットを連れて行きたい、という人のために、ペットと同伴可という旅館もふえています。特に沖縄がそうで観光協会が音頭をとって「ペット連れでぜひおいで下さい!」というキャンペーンまでしております。
それほどまでにペットは可愛いい、可愛いがられます…では何故ペットがかわいがられるのでしょうか?本気で考えたことがありますか??姿カタチが可愛いい…もちろんそれもありますが…もしペットがモノが言えて、しゃべれたらどうなると思いますか?
「ここのウチの奥さんね、しょっちゅう長電話して、昼間はいつもどっかへ遊びに行ってて、旦那が出勤した後は、雨の日なんかグーグ昼寝よ、起きたと思ったらおやつパクパク食べてんの、私にはいつも同じペットフードばっかりでイヤになっちゃう!」こんな話がしゃべれてその声が奥さんにきこえてごらんなさい、すぐたたき出されてしまいます。…ペットはモノが言えないから可愛いのです。
昔から諺にあるでしょ、「口は災いのモト…」。 「モノ言えば唇寒し」という諺もありました。 ペットがなぜ可愛いがられるか…それは「モノが言えないから」です。
短いスピーチというのは言葉の無駄が許されないので案外むずかしい。人が対象に興味を持つのはたいてい3分なので、特別に重大な話題以外は3分内でおさめるよう訓練するのは大事なことだ。
◎ 話の三大障壁の「支離滅裂、しどろもどろ、尻きれトンボ」を防ぐことにもつながる。