images57ENNHEP (3)  スピーチの実例  images57ENNHEP (3)

スピーチ話材は身近なところに起きたことを題材にしたほうが「実感」がわくものだ。起承転結というが、転と結の部分に工夫をこらすと面白い話となる。
下のスピーチは話材が「おみやげ」である。菓子の由来をていねいに語るイントロから、その菓子の改良形ができたこと、実際にみやげとして喜ばれたことを述べる。

3963378  そして「転」の部分にあたるのが、母の思い出である。
最後に「結」として、おみやげは「思い出の味」であり、お金よりも貴重である、と結ぶ。
珍しいお菓子の紹介にとどまってはいけない。「紹介や報告」では感動度は低い。それを自分の「心情」につなげたときに共感や感動が発生する「マイスピーチ」になる。

「おみやげの大ホームラン」     ひろりん

「みたらし団子」という庶民の餅菓子があります。もとは京都の下鴨の加茂みたらし茶屋が発祥とされます。3~5個の団子を串に刺して砂糖醤油の葛飴をかけた串だんごです。とろりとした葛飴にくるまれた焦げ目のついた香ばしい団子の風味がすばらしく愛好者が多い。茶屋でひと休みする客に喜ばれたことだろう。水戸黄門ご一行も食べたかもしれません。

美味しいから知人へ手土産に…と思うが持ち歩きには向かない。タレがたれたり団子が固くなったりします。それでこの「みたらし団子」を工夫して、砂糖醤油のタレを団子の中にくるんだ「みたらし小餅」というのを大阪の千鳥屋という老舗の菓子屋が作りました。これなら箱詰めにして近所に進呈できる。

この手軽さとみたらしの味が評判となって今では大阪のかくれた名品になっている。先日、ある方からその「みたらし小餅」いただきました。食べてみたら噂どおりたいへん美味でした。 先週大阪で「同窓会の世話役会」があったので、私がその話をしたら、関東から来た友人が、「それなら私もそれをお土産に買って帰ろう、」と言うので、この近くの店を案内し、友人はそれを沢山買って宅急便に頼んで帰りました。2日ほどしてメールが来ました。「あれが大評判でした!」と書いてあります。

おみやげ用に買って帰った「みたらし小餅」を近所や趣味のグループに配ったら、なかには関西出身の人もいて、「いや~なつかしい大阪の味やわ~」といたく感激されたという。大阪出身の人にとっては、思いがけずふるさとの友人にでも会ったようななつかしさで大変よろこんでくれた。

あるご家庭では、「明日息子が来ることになっているので、息子と一緒に食べるわ!息子も喜ぶやろ!」と言われたそうです。自分までうれしくなりました。とありました。◎

<時間がない時はここをカットする> 約20秒  私も昔、母が作ってくれた「安倍川もち」のうまさを時々思い出すときがあります。母は静岡の人でした。焼きあがった餅をちょっとお湯に浸してから砂糖入りのきなこにまぶすと、柔らかくておいしいお菓子のような安倍川もちができます。今ではそれを食べる機会もありませんが、私にとっては「安倍川もち」は亡き母の思い出に連がるものでもあります。

◎なつかしい食べ物は、その当時の、子供時代の思い出の味がつまっているような気さえします。こればっかりはお金に代えられない、いやお金以上にありがたいものであります。 みたらし小餅は「おみやげの大ホームラン」でした。

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〈題名〉  タイトルのつけかたは案外難しい。そのタイトルだけで聴衆の関心を喚起するものが理想だが、なかなかそうはいかない。上のスピーチに題をつけるとすれば「みたらし小餅」をまず考えるが、後半から「安倍川もち」が登場する。「みたらし小餅と安倍川もち」ではいったい何のことかわからない。そこで両者に共通するものをさぐる。
どちらもおみやげの威力が強大である。そこで「おみやげの大ホームラン」というタイトルにした。しかしホームランというとスポーツを連想させるので、味にふさわしいタイトルを探している。

4行目に「私も大好きです。」という主観表現を入れている。これによって「みたらし」がぐっと近寄ってくる効果がある。客観表現の弱さをこれで補完する。
ところでこの文はしゃべると3分かかる。3分の文章を目読することは抵抗はないが、目の前で3分間しゃべられたら(それが面白くない話だと)うっとおしく感ずるかもしれない。故に「話は簡潔に」。2分程度にするほうがききやすい

話のシェィプアップである。どこをカットするか考えなくてはならない。山椒は小粒でピリッと辛いが理想である。

〈演技力〉 最近は漫才ブームである。若手のお笑い芸人がテレビに登場して人気者になっている。しかし面白い話でも仏頂面で語っては楽しさは半減する。顔の表情やしぐさも楽しさを盛り上げる大きな要素である。聴衆としっかり目線を合わせるアイコンタクトは勿論、適度なジャスチャー(しぐさ)を加えて「自分の話の世界へ」聴衆を引き込むことは重要。<語り手にも演技力が必要だ>